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  • 2010.12.28 Tuesday
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成人骨髄細胞で整形外科治療

  例の鳩山氏のloopy問題以来、ワシントンポスト紙をちらちらみているのですが、つい先日、難治性のアキレス腱断裂に、患者腸骨から採った骨髄血を使用して治癒させたという写真付きのヘッドライン記事が載っていました。

 一大ニュースのようですが、Mの感覚からいえば、今頃何をという感じです。

 アキレス腱断裂の治療は、教科書でも間違っている事が普通です。
整形外科教科書では細かく糸の通し方を解説して腱断裂の治療としていますが、間違っています。

 生理学的に成熟した膠原繊維には再生機能はありません。これをどんなに工夫して縫い合わせても、決して断端同士は接着しません。

 でも、縫ったら着きますよね、何故でしょうか。

 二つの条件が必要です。
1.断端が血液に浸されること。
2.血液に浸された断端が腱鞘に包まれていること。

1の説明:断裂部から出血した血液に幹細胞が現れて、幼弱な細胞が繊維細胞へ分化して断端同士を架橋します。
2の補足:機能的な腱を再生する為には、腱繊維の立体構造が再建される必要があります。つまり、長さ、断面積、テーパーリング(徐々に断面積が増減する事、アキレス腱では近位から遠位に向かって断面の形状が長円から真円に形を変えて細くなります)です。再生腱の形状は凝血塊の容器である残存腱鞘が決定します。

 だから、アキレス腱断裂はギプスを巻くだけでも(つまり、開いて縫い合わせなくても)治るんですよ。

上記1、2の条件が行われている事は、実際に手術をしてMは肉眼で確認しています。

 ? でしょ、なぜ正しく治癒条件1、2が行われているのに、Mは手術していたか?ですよね.

 治癒途中で手術するのは、「2の補足」の不十分です。
どういう時に不十分になるか.
最も多いのは、腱の途中に凹みを残したままの場合。
 これは手術の下手、下腿三頭筋の短縮、断裂腱断端の飜転で起ります。
  途中が妙に細い腱は再断裂したり、懸延長状態のため筋力が低下します。
手術の下手で一番多いのは腱鞘の取り扱いの不備です。
 Mは腱鞘だけを特別に皮弁形成のようにして筒形状を再生することありますが、腱の断端しか目に入らないDrは少なくないです、実際。

 そうやって、誰かさんの失敗のやり直しの手術をしている時に、半透明の幼弱膠原繊維組織の中に沈んでいる飜転した腱断端とともに、しばしば外れて解けている縫合の結び目が透けて見えます。

 腱同士の縫合糸は断端の距離を保持する効果しかありません.

 そういう実例を少なからずみているので、ワシントンポスト紙のヘッドラインにこういう記事が出ると、意外な感じがしました。
さわやかくん

世の整形外科医、案外、軟部組織に無頓着です、
 特に血流に関する関心とケアがないDrは多いし、骨・筋腱・血管・皮膚神経をバランスよく心配りして手際よく手術出来るDrは数多くないです。

   実際、レントゲンに写る骨の姿しか関心が無い連中が居ます。
Mはそういう連中を聞こえないように「骨屋」と呼んでいます。
  今も、外来にレントゲン写りはいいけれども血行が確保されていないから骨癒合しない『関節形成術』後の他院での術後の患者が来られていて、Mはいやいやフォローしています。
   こんなの『関節破壊術』ですよね…「骨屋」の仕業です。

 ワシントンポスト紙はいわゆる胎児幹細胞と成人幹細胞の治療についてのコラムだったので、同紙には罪はありませんが、アキレス腱断裂の治療はアキレス腱鞘の治療であるという事を、「整形外科医」は認識しておくべきだ、と思ったのでこんな話をアップしました。

 初老期鬱病の八つ当たり、かな…

久しぶりの学会参加

ちゅうぶ この頃若干体調が回復してきたので、一念発起して“整形”の午前外来を休診させていただいて、第107回中部日本整形外科災害外科学会に参加しました。足掛け3年振りくらいの学会参加です。いろいろな手続きがしばらく参加しない間に変わっていて浦島太郎でした。
 学会参加と行っても2日間の会期中の午前半日だけで、10月6日の9時から13時のハンズオンセミナー(物品を用意してくれて実際に器具などを触って勉強する集まりをこう呼びます)で、『脊椎内視鏡後方手技ドライトレーニング』という、背中に管を突っ込んで顕微鏡で見ながら椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の手術する方法手術を勉強してきただけです。
 しかし、本日朝はいつものように8時台に体調不良になって、いつもの外来のように9時の開始には間に合いませんでした。(これでちょっと凹)でも、講師の先生と話したり、久しぶりに手術器械業者の知人に会ったりして、楽しい半日でした。

修了書 脊椎内視鏡手術を近日中にする予定はありませんが、自分では経験のない手技なので勉強になりました。関節鏡と同じでセッティングが大層ですが、後は道具と視野が小さいだけで、模型でのトレーニングには違和感はなく、いろいろ工夫してある用具を自由に試用出来るので愉快でした。minimal invasive method(低侵襲手技)という16mmの皮膚切開で手術する患者さんの身体的負担の少ないやり方です。脊椎関係では、ここ3年ほどのトレンドだそうで、希望される患者さんがあれば治療の選択肢の一つとして準備しておかなければならないかなと思います。セミナー終了後に修了証をいただきました。

 会場はポートアイランドだったので、帰路に“整形”へVIPさんの術後創処置に寄りました。すると病室には理事長がおられて、御前で処置をすることになり、慣れないネクタイの下に汗!です。でもVIPさんの人工膝は至極順調で、昨日全荷重起立、本日はSLR自動40°以上の殆ど痛み無しで、本日午後から全荷重歩行訓練を開始するように指示しました。
 その後、みさきで外来と居残り。外来で終了前にM小学校から8歳女児の小指基節骨骨端離開(成長軟骨部での骨折)が来ました。ドッジボールでの受傷です。母親の到着を待って状況と自然経過を説明したところ、整復を希望されたので、透視下に無麻酔で整復し、可愛い女の子に一泣きされてまた汗。でも、基節骨のアライメントが無事正常に戻り、母子に感謝してもらいました。
 関東は台風で豪雨もあるようですが、ポートアイランドは奇麗な秋の青空で、なにやかやと、よく汗をかく一日でした。
 明日は土曜の外来の後、サーバーのチェックの続きです。ファイルメーカーの動作がいよいよ怪しくなってきたという情報が入ったので、これは大変です。場合によってはサーバーからファイルの整理などを至急しないといけないかもしれません。

手指再接着(40歳以下閲覧禁止)

griphon本日、土曜日の外来に、69歳の男性が左手の示指、中指、環指、小指を各指中節のレベルで切断して受診されました。とりあえずターニケットで止血しつつ診察すると、紙の裁断機で奇麗に切断されており、その方の御希望は指の再接着で、紙に包んで断指を4本とも持参されていました。中央市場の印刷業の方でした。
 指の再接着(replantation)にはマイクロサージェリーの心得のある術者(執刀責任の取れるDrのことです)が二人、素人ではない助手が二人程必要です。当然、マイクロサージェリー(微小外科手術)の出来る顕微鏡を完備した手術室と麻酔科医、手術室看護師さんが必須です。そういうチームで、指1本に2〜4時間かけて、たいがい徹夜で交代しながら手術を行います。手術の段取りとしてはまず土台となる骨を鋼線などでつなぎ、指1本について理想的には動脈を2本、静脈を最低1本の血管縫合をします。縫合する血管の内径は1mm程度です。次に神経を出来れば指の両側で縫合します。神経は細めの素麺ぐらいの太さです。それから可能であれば屈筋腱と伸筋腱の断端を探し出して縫合します。骨の接合と腱縫合以外は顕微鏡で視ながらの処置になります。
 結果はどうあれ、みさきを受診された患者さんの希望をかなえるべく他の外来患者さん達にお待ちいただいて外来診療を止めて1時間強努力しました。
 先ず救急本部に指の再接着が可能な施設を尋ねました。手術の出来るチームと設備が揃うところにお願いしなければなりません。特殊な機能の施設という事で、かつては登録制度などもありました。救急本部はK大学病院と某中央市民病院の名を挙げました。それから病院の救急受付に連絡し、状況を説明し、担当Drからの返事を待つという手順を繰り返して、次々に拒否されたあげく結局5件目で快く引き受けてくれる病院が見つかり、患者さんは氷冷した断指とともに救急車で送り出す事が出来ました。このブログを書いている頃には、2本目の指に取りかかっておられるでしょうか、どれか2指だけでも生着してくれればと願います。遠く大阪府堺市の清恵会病院に行っていただきました。ここは救急では大阪南部で歴史も定評もある病院です。結局Mの個人的知古を頼って探し出した次第です。
 大阪の病院は他に2件当たりましたが、よく判っているDrが対応してくれて、1件は再接着はもうやっていないが他の可能な施設を教えてくれ、1件は本日はチームが組めないという理由で断られました。納得のゆく交渉でした。
 それに引き換え最初に取りかかった神戸は低レベルで連絡しているこちらが切れそうになりました。
 K大学病院は対応できるDrが居ないらしいです、数十分電話で待たされたあげく、そういう返事でした。若い救急当番のDrがしどろもどろに対応してくれて、まあ許せるかなと。
 特にすばらしかったのが、某中央市民病院で、低能・横柄・下品な対応をしてくれました。電話に出たDrは名乗りもせず、「僕はマイクロサージェリーの経験が有りませんが」と切り出して、「そんな年齢でしょう、そんな手術をするんですかねぇ、手の外科の先生は知りませんがぁ…」とため口でうんちくを垂れだしたのです。
 止血帯(ターニケットとも言います)は組織壊死の恐れが有るので装着するのに時間の制限があります。そのDr(僕的には外科系の医師の資格無しの下郎ですが)には、切断した指を押さえて止血帯の痛みに耐えながら待っている患者が居る事が念頭にない、飲み屋で世間話をしているのではないのです。切断した指の組織が死滅する前に、切断した腱が縮みきってしまう前に、断端の感染が発症する前に(これはゴールデンタイムと言い6時間が期限です)、しかるべき手を打ちたいのです。マンションの宣伝電話を切るように「そちらでは出来ないという事ですね」と言って、さっさと電話を切らせてもらいました。向こうは何か電話口でうめいていたみたいですが。『だれがてめえのようなド素人の若造に電話で手術適応の自説を聴きたくて連絡するか』
 下らない情報収集など割愛して、「担当Dr・・・に連絡しました、とりあえず早く送ってください」と言ってくれた清恵会病院の受付の方、「搬送は急ぐのですね、ヘリコプターは要りませんか」と言ってくれた神戸市救急本部の方、誠にありがとうございました。心が洗われる思いを致しました。
 今回連絡を取らなかった西宮市のH医科大学病院は救急隊も紹介してくれなかったし、僕の知識では手の外科は有りますがマイクロサージェリーは積極的にやっていると聴いた事がありません。そこはともかく、<兵庫県下には、今日では一縷の望みをかけて切断指再接着に取り組む情熱をもったマイクロサージェリーのチームは存在しない>ようです。神戸市救急医療に栄え有れ!みんな兵庫県では指を落とさないように気をつけてね、ご立派なDrからどえらそうに『そんな治療するんですかねぇ』って言われちゃいますよ。
 何となく口惜しい疲れた外来でした。画像のナルニア国のアスラン軍(良い子組)のグリフォンみたいに叫んでしまいそうです;ギャオー[僕が分身の術で5人居れば(麻酔科医も必要ですから5人)、そのまま手術室に連れて行ったのにぃ!]
 失礼しました。
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